医学部受験は国公立、私立どちらも大学入試全体の中で突出した難関です。
このことは、医学部受験に向けて日々勉強を重ねている受験生なら分かっていることだと思います。
医学部受験は一般選抜(一般入試)の他に総合型選抜(AO入試)、学校推薦型選抜(推薦入試)もありますが、基本的に誰でも受けることの出来る一般選抜は倍率も高くなりその分、難易度も高くなると言えるでしょう。
これに対して同じ医学部入試でも総合型選抜や学校推薦型選抜は、受験資格での縛りがありますので受験資格を満たしている受験生しか受けることは出来ません。
受験資格を満たした、限られた受験生しか受けることしか出来ませんので倍率は一般選抜に較べれば低くなります。
私立医学部の一般選抜は志願倍率が10倍を超えることが当たり前で、金沢医科大学一般後期、関西医科大学一般後期、久留米大学医学部一般後期のように倍率が100倍を超える大学もあります。
一方で医学部入試でも、総合型選抜や学校推薦型選抜では倍率が10倍を超えることは稀で、せいぜい4~5倍程度となることがほとんどです。
当然、総合型選抜や学校推薦型選抜は、一般選抜に較べてチャンスの大きい医学部入試と言えます。
「医学部は難しい」というのは間違いありませんが、昨年の私立医学部学校推薦型選抜で、受験者全員が合格となった試験もあります。
医学部受験生の皆さんには信じられないようなことですが、実際に「受験者全員合格」と、なった医学部推薦入試があります。
昨年の岩手医科大学医学部学校推薦型選抜秋田県地域枠は募集人員2名に対し、志願者2名、受験者2名で2名とも合格しました。
この秋田県地域枠は、秋田県出身者のみに受験資格が与えられています。
昭和大学医学部の推薦入試「特別協定校試験」も、2名受験の2名合格でした。
特別協定校になっている高校は特別な進学校というわけではありませんが、昭和大学全体として受験者の多い大学が選ばれています。
東京女子医科大学の「至誠と愛」推薦は7名受験、7名全員合格でした。
この「至誠と愛」推薦は、東京女子医科大学医学部の同窓会組織、「至誠会」の推薦を受けた受験生だけが受験出来る医学部入試です。
また、東京女子医科大学の指定校推薦入試は9名受験、9名合格でした。
指定校推薦入試と言っても、私立医学部では全員合格とは行きませんが、昨年の東京女子医科大学指定校推薦入試では全員が合格しました。
なお、東京女子医科大学の指定校推薦入試は今年から廃止されました。
日本医科大学も、早稲田大学の付属・系属校を対象に指定校推薦入試を行っています。
結果は公表されていませんが、日本医科大学の方と話すと「指定校推薦は全員合格」で間違いないようです。
この他に、川崎医科大学では総合型選抜で霧島市地域枠を行っていますが、昨年は1名受験の1名合格でした。
霧島市は鹿児島県の人口12万人ほどの市ですが、川崎医科大学では霧島市出身者だけの総合型選抜を行っています。
川崎医科大学の方に、「なぜ霧島市地域枠を作ったのか?」とお聞きしたところ、「創立者の出身地だから」との答えでした。
「そういうことか」と思いましたが、一方で「毎年志願者はいるのか?」とも思いました。
こうやって私立医学部の推薦入試を見てくると、「地域枠には注目すべき」ということが分かります。
聖マリアンナ医科大学推薦の神奈川県地域枠は1.2倍、岩手医科大学医学部推薦の地域枠A、地域枠Bの昨年の倍率はどちらも2倍を下回る1.9倍でした。
私立医学部の地域枠には出身地制限のない地域枠もありますが、出身地制限のある地域枠もあります。
特に、出身地制限のある地域枠は志願者が少なくなる傾向にありますので、自分の出身地の地域枠は無いのか一度調べてみるといいと思います。