医学部入試

「夏は受験の天王山」最近はあまり聞かれませんが、以前はよく言われていたことです。

高校が夏休みに入ると、受験生は自分の勉強時間が大幅に増えます。

塾や予備校も夏期講習として、いつもとは違う時間割になることが多くなり、自分で授業スケジュールを組むことが出来ます。

 

「夏」は、自分で勉強スケジュールを組むことが出来ますので、ここをどう有効に使うかが医学部受験、歯学部受験の結果を大きく左右します。

ですから、「夏は受験の天王山」と言われるのです。

 

いつもは高校や塾・予備校の授業が忙しく、「やりたくても出来ない」ことも多くあると思います。

「夏」は、普段はやりたくても出来ないことにも触れることの出来る期間になります。

 

時間に余裕のある「夏」に、「過去問をやるぞ」と意気込んでいる医学部受験生、歯学部受験生は多いと思います。

 

ネット上には、「夏に過去問をやりこんで京都大学医学部に現役合格した」「東大理3合格」といった話が溢れています。

 

これを見ると、「夏に過去問をガッチリやるんだ」と思うかもしれません。

しかし、「夏」に過去問をやりこむことに、私は賛成しません。

医学部受験、歯学部受験に向けて夏に過去問に触れるのはいいのですが、問題は過去問をどう扱うかです。

 

東大理3や京大医学部に合格した受験生の夏の状況は、「基本事項は固まりきっている」でしょう。

「よくある標準的な問題は、問題なく解ける」という受験生なら、夏に過去問をやりこむことで志望校対策を進めることができるでしょう。

 

しかし、「よくある問題の中に、怪しいものもある」受験生が夏にやるべきことは「基本的、標準的な問題を固める」です。

 

医学部受験でも歯学部受験でも合格するために本当に必要なことは、「他の受験生が解いてくる問題は、自分も確実に解く」ことです。

難しい問題を解くことより、解けなければいけない問題を確実に解くことが医学部受験、歯学部受験で大切なことです。

 

「基本的、標準的問題は大丈夫」という、東大理3や京大医学部に合格するような受験生が、夏に過去問に取り組むのはいいでしょう。

しかし、医学部合格・歯学部合格を目指す「普通の受験生」は、夏には過去問ではなく「解けなければいけない問題」に集中するべきです。

 

過去問は、「受験生を選抜するために作られた問題」で、学力を上げるために作られた問題ではありません。

ここを勘違いすると、受験に失敗することになります。

 

「夏に過去問をやってはいけないのか?」と聞かれれば、「過去問をやってください」と答えます。

「話が違う」と思われるかもしれませんが、「過去問をどうやるか」が重要です。

 

夏は、「過去問を解く」というより「過去問を見る」でいいと考えて下さい。

 

夏の段階では過去問を「本気で解く」のではなく過去問を見て、医学部入試・歯学部入試の試験当日に「どのくらいの難易度の問題を、何分で解けるようになればいいのか」をつかんで下さい。

全ての問題が解けるようになる必要はありません。

志望校の試験当日に合格最低点が、確実に取れるようになっていればいいのです。

 

「夏」が医学部受験生、歯学部受験生にとって重要な期間であることは間違いありません。

「夏」に自分がやるべきことを、しっかり考えて「夏」を迎えて下さい。