医学部入試

バスケットワールドカップ日本代表に受験の真髄が隠されている

 

    目次

 

1. 「頑張った人が結果をつかんだ」ことと受験の真髄は違う

2. 1次リーグを勝ち抜けなかったバスケ日本代表と1次リーグ全勝のなでしこJAPAN

3. バスケ日本代表に見る医学部受験、歯学部受験の真髄

 

1 「頑張った人が結果をつかんだ」ことと受験の真髄は違う

 

バスケットボール男子のワールドカップは昨日、決勝戦が行われドイツの優勝で幕を閉じました。

今回のバスケットボールワールドカップ日本代表の戦いに「医学部受験、歯学部受験の真髄が詰まっていた」と、私は感じています。

 

「えっ?バスケのワールドカップって、まだやってたの?」と思う方も多いかもしれません。

そう思うのは、日本代表の試合がずいぶん前に終わっていたからだと思います。

 

今年のバスケットボールワールドカップは日本が開催国の一つになっていたこともあり、連日熱い報道が行われていました。

医学部受験生、歯学部受験生の皆さんは受験勉強に忙しく、あまり関心を持たなかったかもしれませんが、ものすごい盛り上がりでした。

 

結果として日本代表は来年のパリオリンピックの出場権を獲得しました。

「おめでとう日本!!」、「よくやった日本」日本中が、こういった雰囲気に包まれました。

 

「頑張った人が結果をつかんだ、ここに受験の真髄があるのか?」と思う受験生や保護者の方がいるかもしれませんが、それは「違います。」

 

2.1次リーグを勝ち抜けなかったバスケ日本代表と1次リーグ全勝のなでしこ

 

バスケットボールの男子ワールドカップは32か国が参加して、4チームずつ8つのグループに分かれて1次リーグを戦います。

4チームで戦う1次リーグではグループ2位までが2次リーグに進みます。

日本はグループEでドイツ、オーストラリア、フィンランドと闘いましたが残念なことに1次リーグを抜けることは出来ずに、17位から32位の順位決定戦に回りました。

 

バスケットボールワールドカップ直前に行われていたサッカー女子のワールドカップでは、日本代表、なでしこJAPANは1次リーグを全勝で勝ち抜け、決勝トーナメント1回戦も勝利しました。

 

1次リーグを勝ち抜けなかった男子バスケットボール日本代表、1次リーグを全勝で勝ち抜けた女子サッカーなでしこJAPAN、試合結果だけを見ると女子サッカー日本代表の圧勝と言っていいでしょう。

 

しかし、世間の反応は圧倒的にバスケットボール日本代表に傾いていました。

ここに、私は受験の真髄を見ます。

 

3 バスケ日本代表に見る医学部受験、歯学部受験の真髄

 

バスケットボール日本代表が日本全体を熱くさせたのは、沖縄での開催ということもあったのですが、それと同時に最初から「目標は、パリオリンピックの出場権獲得」としていたことです。

 

「1次リーグを勝ち抜け、優勝が目標」とは一言も言いませんでした。

「1次リーグを抜けられなくても関係ない。目標はアジアで1位になってアジア枠でのパリオリンピック出場権を獲得すること」と言い続けていました。

 

女子サッカーのなでしこJAPANは、ワールドカップ優勝経験国として目標は、「優勝」でした。

 

そもそも、バスケットボール日本代表と女子サッカー日本代表では目標が違いました。

女子サッカーのライバルは並みいる世界の強豪国でしたが、バスケットボール日本代表のライバルは、世界の強豪国ではなくアジアの国々でした。

 

そして17位から32位の順位決定戦で見事にアジアの1位になり、パリオリンピック出場権を獲得しました。

誰も「1次リーグ抜けられなかったじゃないか」、「参加国の中で真ん中より下じゃないか」とは言いません。

今回の結果に日本中が沸きました。

 

バスケットボール日本代表を医学部受験に置き換えて考えてみましょう。

 

世界には日本より強い、世界ランク上位の国がいくつもある。

しかし、ライバルは世界ランク上位の国々ではない。

アジアの中で最上位になることが目標

 

これを、医学部受験に置き換えると

 

受験生の中には、偏差値が70を超える慶應義塾大学医学部や東京慈恵会医科大学に合格出来る成績上位層がいる。

しかし、ライバルは偏差値70を超えるような受験生ではない。

自分が医学部入試に向けての目標は、まず偏差値60を超えること。

 

となります。

 

「医学部ならどこでもいい」と考えている医学部受験生は、偏差値70を超えられればいいのですが、超えられなくても医学部合格は十分に可能です。

 

つまり、偏差値70を目標とせず「そういう受験生はいるけど、その受験生は気にしない」

あくまで目標は、「どこかしらの医学部に合格出来る可能性を求め、偏差値60越えが最初の目標」です。

 

高い目標に向かって頑張るのはいいのですが、他の受験生も頑張っている中、自分だけがスルスルと成績が上がる、ということは簡単ではありません。

高い目標に向かって頑張っていても成績が思ったように伸びないと、気持ちが萎えてしまいがちです。

 

最初から現実的な目標を掲げていれば、また違ってくるでしょう。

河合塾の私立医学部ボーダーライン偏差値では川崎医科大学は偏差値60,北里大学医学部や岩手医科大学医学部など8校のボーダーライン偏差値は62.5となっています。

 

慶応義塾大学医学部や東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学医学部は偏差値70を超えています。

 

ちなみに、駿台予備校の川崎医科大学のボーダーライン偏差値は52で、慶應義塾大学医学部のボーダーライン偏差値は73です。

 

「医学部は難しいから、少なくとも偏差値65は無いと安心できない」と考えるのか、「偏差値60を超えてくれば医学部合格のチャンスが出てくる。まずはここが目標」と考えるのか、受験生心理に違いが出てくると思います。

 

偏差値65を目標とした場合、いつまでたっても偏差値65を超えられなくて気持ちが前に向かない受験生もいるでしょう。

一方で、偏差値60超えを目標にしていた受験生が、偏差値65は無理でも偏差値60を超えてくると、「よし、この調子で65まで頑張ろう」となるでしょう。

 

ボーダーライン偏差値は違いますが、私立歯学部受験でも考え方は同じです。

 

バスケットボール日本代表の目標設定は医学部受験、歯学部受験に通じるものがあると思います。