医学部入試

AO入試、総合型選抜は学力不問という大きな勘違いで合格が遠のく

医学部受験や歯学部受験に立ち向かう受験生の親御さんが大学を受験した当時は、総合型選抜(AO入試)という大学入学試験はありませんでした。

ですから、受験生の保護者の方はAO入試・総合型選抜という入学試験を「なんとなく」しか理解していない方が多くいらっしゃいます。

 

慶応義塾大学の総合政策学部と環境情報学部が日本で最初に導入したAO入試は、その後広がりを見せ、現在では私立大学だけでなく国立大学でも9割ほどの国立大学が一部の学部またはすべての学部で総合型選抜を実施しています。

 

国立大学の中で、東北大学が最も総合型選抜(AO入試)に力を入れていて、2000年度入試で歯学部と工学部でAO入試を実施し、以降他学部にも広がりました。

東北大学では、現在AO入試での入学者は3割ほどですが、「いずれ全ての入学者をAO入試で選抜したい」という意向を持っています。

 

これは、「1点刻みの学力試験に頼るのではなく多様な選抜方法で入学者を求めたい」ということからで、実際に「AO入試からの入学者の方が一般入試からの入学者より入学後の成績がいい」という調査結果も出ています。

 

総合型選抜(AO入試)が広がりを見せる中、一部の私立大学では「入学者確保のための手段」として、総合型選抜(AO入試)を実施している大学もあるのも現実です。

こういった大学では総合型選抜(AO入試)は実態として「学力不問の大学入試」となっている場合も少なくありません。

 

出願書類と面接、または小論文と面接と言った試験内容の大学もありますが、私立大学でも医学部入試と歯学部入試における総合型選抜(AO入試)は、入学後の学習をこなす基礎学力、能力は必ず試されます。

 

これは医学部、歯学部が卒業後に医師国家試験、歯科医師国家試験が待ち受けているからです。

「入学させたものの、能力不足で留年する学生、国家試験に合格できない学生」は大学にとって本来、入学させてはいけない受験生だったとも言えます。

 

医学部、歯学部の国家試験合格率は社会的な評価に直結しますし、補助金にも影響を与えます。

こういったことから医学部入試、歯学部入試における総合型選抜(AO入試)は、学力試験が無くとも、入学後の学習を問題なくこなす基礎学力、能力は問われます。

 

多様な方法で入学者を選抜するために総合型選抜を実施するわけですから、英語や数学、理科といった純粋な学力試験は無くても、違う視点で能力の評価が行われます。

ですから英語や数学、理科の成績から考えると医学部や歯学部の合格は厳しいと思われる受験生も十分に合格することが可能です。

また、医学部入試、歯学部入試におけるAO入試では学力試験を行う大学も多くあります。

 

東海大学医学部の「希望の星選抜」におけるオブザベーション評価、東邦大学医学部の適性試験、獨協医科大学のワークショップ、昭和大学歯学部や明海大学歯学部の講義理解力テスト、朝日大学歯学部のプレゼンテーション、日本歯科大学新潟生命歯学部の実技評価など、医学部や歯学部のAO入試では、学力試験が無い場合でも独特の能力評価が行われます。

 

「総合型選抜(AO入試)では、学力ではなく意欲や部活などのアピールポイントが重要」と説明する予備校もあるようですが、それは医学部や歯学部ではない他学部の話ですので、

医学部受験生、歯学部受験生の皆さん、そして保護者の方々は勘違いしないようにしてください。

 

自分の時代には無かった入試ですから、親御さんも研究が必要です。

 

そして、総合型選抜(AO入試)を受験するのであれば、受験校の試験内容に合わせた的確な準備を進めてください。