医学部入試では学力試験の他に、小論文と面接が課されるのが一般的です。
医学部受験に向けての準備は英語、数学、理科などの学力試験に加えて、小論文と面接の準備もやらなければなりません。
医学部受験生の皆さんは、医学部合格のために小論文の勉強も進めていると思います。
小論文の勉強をするのはいいのですが、やり方を間違えている受験生は少なくないと感じます。
まず、医学部受験生の皆さんに分かってもらいたいことは、「医学部入試で小論文が上手く書けたからといって合格することは無い」ということです。
実際の医学部入試では、小論文が非常によく書けているから、「1次試験の下位から逆転合格」、ということはありません。
医学部の小論文の中には現代国語的な要素が含まれていることもありますが、ここでの話は、「小論文」の部分の話です。
「いや、小論文に配点が付いている医学部もある」という声が聞こえて来そうです。
昭和大学医学部2次試験の配点は小論文30点、面接70点です。
金沢医科大学は小論文60点、面接110点で、兵庫医科大学は小論文50点、面接・調査書で100点の配点となっています。
確かに小論文に配点を付けている大学は少ないものの、あります。
しかし、小論文に配点を付けている大学では、小論文の配点は面接と比べても小さくなっています。
また、東邦大学医学部や日本大学医学部、藤田医科大学、関西医科大学などでは小論文は出題されません。
もう一点、配点があると言っても「差が付くのか」ということもあります。
あえて大学名は言いませんが、その大学の副学長と話したときに「医学部の小論文の評価は字数。内容は見ない」とはっきり言われました。
医学部の小論文は、配点があったとしても小さく、差も付きくいので「小論文で逆転合格」は無いと考えてください。
ただし医学部入試では、「小論文が書けなくて不合格」ということはあります。
全く字数制限を満たしていないような小論文は「採点対象外」とされる恐れが十分にあります。
こうなると、学力試験の結果と関係なく「不合格」となってしまいます。
こういったことから「小論文はディフェンシブでいい」となります。
つまり、「医学部入試のための勉強では、小論文にあまり時間を掛けなくてもいい」ということです。
「小論文の勉強はしなくていい」とは言いません。
しかし、必要以上に時間を掛けるのは、どうかと思います。
「小論文が上手く書ければ逆転合格出来る。だから小論文に力を入れる」という受験生が見受けられます。
医学部入試の勉強法としては、間違いです。
学力試験の勉強に力を注いでください。
「小論文をもっとやらなければ医学部に合格出来ない」と言って小論文の個別指導を取らせる塾や予備校は、「生徒より予備校の都合を優先している」と私は考えます。
小論文の勉強方法も、「間違っている勉強」をしている受験生が少なくないと感じます。
数学や理科は、出題範囲が明確です。
英語も、高校での履修範囲からの出題になります。
学力試験では、高校で習っていないことは原則、出題されません。
しかし、小論文は何が出ても文句は言えません。
「習ったことの中から出題される」ということはありません。
小論文の勉強で何より大切なことは「何が出ても、制限字数は満たすことが出来る」です。
小論文の授業では、「医の倫理」、「高齢社会の医師の役割」「説明と同意」といった知識を学ぶことに力を入れる授業も多いようです。
受験生は医療に関する知識を学ぶと、医師に一歩近づいたような気分になるようです。
しかし、小論文で大切なことは先に述べたように「知らないことであろうと何が出ても制限字数は満たすことが出来る」です。
「学んだことの中から出る」という事は期待できませんので、知識を入れる勉強はお勧めしません。
小論文の勉強では「自分の手で書く」ことを大切にして「書き慣れる」ことに注力して下さい。